20240902 夏祭りと盆踊り（分離開催）

　富岡町の盆踊りは、どこの町村もそうであったように震災前は各地区ごとにあって、大きいものだと、富岡一小で開催されていたうちわ祭りというのがありました。昔は商店街を流し歩いてた記憶があるけど。ちなみに富岡町以北の盆踊りは基本的に相馬盆唄です。地区によってはその変形。となりの楢葉町以南から磐城盆歌が混じり合ってきて、土地柄が滲み出ています。伝統文化の境界線は面白いですねぇ。

　だいたい夏祭りと盆踊りはこれまた地区ごとに同時に開催されることが多く、　そして当然震災によってその流れは途絶え、仮設住宅等でやったりしていましたが、2017年4月、避難指示の一部解除をうけ、同年8月11日「富岡夏祭り2017」としてやっと地元に祭りが帰ってきました。当然、各地区でできるほどの人口はいないので、一つの祭りとして集約されたかたちで、各種イベント、ライブ、盆踊り、そして花火が打ち上げられ、それほど多くの人は集まらなかったけど、完全に地元住民主催の形で祭りの復活となったのです。あの時の花火は涙無くしては見れませんでした。その後も夏祭り／盆踊りは続きます。ちなみに2018,2019年に復活した麓山の火祭りでも盆踊りは開催されました。伝説のロックフェス「とみロック2018」が開催されたのもこの頃でした。

2018年8月　富岡夏祭り2018　富岡一中校庭

2019年8月　富岡夏祭り2019　富岡一中校庭

しかし、このあとコロナの波がやってきました。日本中で祭りやイベントの中止が相次ぎます。

2020年　富岡夏祭り2020　コロナで中止。

ただ、それでは寂しいということで小浜風童太鼓のみなさんが、お盆時期にトラック移動しながら、町内何箇所かで太鼓の音を轟かせてくれたのがとても頼もしかった。

2021年　富岡夏祭り2020　コロナで中止。

2022年　富岡夏祭り2021　コロナで中止。

　3年連続かよ！しかし、これまたお盆に富岡に残ってる人にとっては寂しすぎるということで、有志によって、さくらモールの前の広場でちっちゃく開催されたのが「富岡盆踊り2022」でした。櫓も出店もなく、ちょうちんをぶら下げたテントの周りをぐるぐる踊りあるくだけの本当に小さなものでしたが、企画、参加者の心がこもった本当に尊いものでした。そして、この時点で中止になった夏祭り2022の中には、諸事情により盆踊りは組み込まれていませんでした。

2022年　富岡盆踊り2022　ちっちゃく開催

　そしてコロナ明け（？）で夏祭りが帰ってきます。今度は場所を富岡漁港に移して、新たなイベントとしての開催です。

2023年8月　富岡夏祭り2023　富岡漁港

2023年　富岡盆踊り2023　富岡ふれあいドーム

　実際に夏祭りと盆踊りが分離開催されるようになったのはこの年からということになります。諸々の事情で観光協会主催の夏祭りに盆踊りが組み込まれなくなり、しかし！富岡の盆踊りを絶やしてはいかん！と立ち上がったのが小浜風童太鼓の榎内正和さんです。有志が集まって盆踊りを企画。8/14に富岡一小で予定。後に富岡ふれあいドームに場所を変更し、富岡盆踊り2023として画期的な屋内盆踊りが始まったのです！屋内といってもふれあいドームは人工芝のテニスコードが３面あるとても広いドームなのです。これが夏祭りと盆踊りが別々に開催するようになった第一歩でした。

　そして今年も引き続き夏祭りと盆踊りは別々に開催となりました。

2024年　富岡夏祭り2024　富岡漁港

　　　　富岡盆踊り2024　富岡ふれあいドーム

　ご存知の方も多いかもしれませんが、富岡に限らず、この地域はお盆、正月、ゴールデンウィークなどは、人がめっきり減ってガラガラになります。震災前のようにお爺ちゃん、お婆ちゃんのところに家族、親族が集まってくるなんて光景はほぼなくなってしまいました。しかし、残ってる人のためにも、富岡の祭りの火を消さないためにも、こうして観光協会や小浜風童太鼓のみんさんはじめ、地元の人たちが地元の人たちのために集まって催される企画はほんとに手作りであったかく、何ものにも変え難い地元愛なのだなあと思う。今年はどちらの祭りにも音響として協力させていただいて、十分に堪能することができました。この形の流れが続くなら、今度は運営に若い人たちがもっとかかわって、富岡の新しい風物詩として、あるいは自分たちの祭りとして育てていってくれればいいなと思ってます。富岡の灯を絶やさない、いや、新しい灯をともし続けるために。